『ただいるだけで』PHP研究所

相田みつを

《雨の日には雨の中を 風の日には風の中を》

暖かい春の陽ざしを

ポカポカと背中に受けて

平らな道をのんびりと歩いてゆく…

そんな調子のいい時ばかりはないんだな

あっちへぶつかり

こっちへぶつかり

やることなすこと

みんな失敗の連続で

どうにもこうにも

動きのとれぬことだってあるさ、

当てにしていた

友達や仲間にまで

そッポむかれてさ

どっちをむいても

文字通り八方ふさがり…

四面楚歌ッてやつだな

それでも

わたしは自分の道を自分の足で

歩いてゆこう

自分で選んだ道だもの…

雨の日には雨の中を

風の日には風の中を

涙を流すときには

涙を流しながら

恥をさらすときには

恥をさらしながら

口惜しいときには

「こんちくしょう!」と

ひとり歯ぎしりを咬んでさ

黙って自分の道を歩きつづけよう

愚痴や弁解なんて

いくら言ったッて

何の役にも立たないもの…

そしてその時こそ

目に見えないいのちの根が

太く深く育つ時だから

何をやっても思うようにならない時

上にのびられない時に

根は育つんだから…

雨の日には雨の中を

風の日には風の中を…

「災難にあう時節には災難にあうがよく候。死ぬる時節には死ぬるがよく候、これはこれ災難をのがるる妙法にて候」

良寛和尚の言葉だ。

嫌なことから逃げようともがけばもがくほど、嫌なことは追いかけてくる。

雨の日には雨の中を行くしかないのだ。

そして、愚痴や不平不満を言わずに、嫌なことに対処したとき、人としての深さや厚みや重みが増す。

目に見えないいのちの根が、太く深く育つのだ。

雨の日には雨の中を…

愚痴や言い訳を言わず、ただひたすら自分の道を歩みたい。