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★洋ちゃんの読観聴 No. 1194

★洋ちゃんの読観聴 No. 1194            

映画 「ムーンライト」                        

今年度のアカデミー賞作品賞の作品。        

貧困な家庭に生まれた一人の黒人の半生を少年時代

から大人まで描く。3部構成となっていて、1部は

小学生、2部は高校生、3部は大人になった時代と

なっている。

?シャロンは母親との2人暮らし。おとなしくてシャイ、

なのでいじめられっ子だ。家に帰っても母親は男を

連れ込んでいる。偶然知り合った麻薬売人のファンに

可愛がられ彼の恋人テレサの世話も受ける。シャロン

とって友人は一人だけ、ケヴィンだ。

?母の生活は益々荒れてくる。麻薬常習に加え生活の

ため売春もしている。行き場のないシャロンは相変わらず

テレサから小遣いをもらったりしている。ファンは既に

他界している。高校のいじめのリーダーはシャロンの親友

ケヴィンにシャロンを殴れと命令する。それを断れない

ケヴィンはシャロンを殴り倒す。後日、我慢の限界に

達したシャロンはいじめのリーダーを襲い、逮捕され

刑務所行きとなる。

?月日は流れシャロンは30代だ。ファンの後を継ぎ

麻薬売人となっている。友達も恋人もいない。だが、

思い立って薬物療養所にいる母親を訪ねる。最低の

母親だったと謝る母親をシャロンは許す。そして、

かつての親友ケヴィンを訪ねる。ケヴィンも刑務所

経験があるが、今は堅気でコックをしている。妻とは

離婚したが子どもが一人いる。「おまえはどうなんだ、

何している?」と問うケヴィンに対しシャロンは即答

できない・・・。

この映画はいろいろな側面から語ることができ

そうだ。同性愛の社会的承認を語る人もいる。

これは貧困の連鎖がテーマだと言う人もいる。

子どものいじめをどうなくすのかが大事と捉える

人もいる。アメリカ社会から麻薬を絶滅しなければ

と主張する人もいる。

どれもこれも正しいとは思う。もう一つ僕が付け

加えるとすれば、アメリカにおける男性像の新たな

見方の提示かなと思う。アメリカは男社会である。

男は女より強く、家庭の大黒柱であり家族を支え

守るものだとされている。その男性優位と男らしさを

美徳とする価値観は家庭、学校、職場と社会全体を

今なお覆っている。だが、それだけが唯一の理想

社会なんだろうか? 優しい男、弱い男もあって

いいんじゃないか。弱い男が強い女に巡りあえず

パートナーを男性に求めたとしても、そのどこが

悪いのか。そんなことを問いかけている気がした。

とっくに男性が女性化(と言って悪ければ草食化)

している日本ではピンとこないかもしれないが、

アメリカ社会を理解するきっかけにもなる映画かと

思う。

楽しい映画ではないが、一見の価値は十分あると

思う。