<大阪>コンビニがない! 村誘致も助成効果なく 千早赤阪

 大阪府内唯一の村、千早赤阪村が村内に一軒もないコンビニの誘致に取り組んでいる。府内の自治体でコンビニがないのは同村だけ。開店を望む住民の声は多く、開業資金の半額を助成する制度を昨年導入した。事業者の負担を軽くして出店を促すアイデアだが、過疎化が進む村に出店するメリットは少なく、出店業者はまだ現れない。村民の“悲願”といえるコンビニは誕生するのか。【金志尚】

 千早赤阪村は、富田林市と河内長野市河南町に囲まれ、奈良県にも隣接する。南北朝時代の武将、楠木正成(くすのき・まさしげ)の出身地として知られ、日本の棚田百選に入る「下赤阪の棚田」もあり、歴史と景観は有名だ。

 一方、買い物の環境は厳しい。村に大型スーパーはなく、飲料水やカップ麺などを扱う個人商店が数軒並ぶだけ。生協による週1回の移動販売もあるが、必要な物を買いそろえるために村外に出る人は多く、約40年間暮らす辻本正幸さん(73)も「食料品をはじめ買い物には、河内長野に出掛ける」と話す。

 こうした中、コンビニを求める声は以前からあった。村が2年前に地元中学生約100人に将来展望を尋ねるアンケートを実施したところ、自由記述欄に「コンビニがほしい」との回答が相次いだ。ある主婦(69)は「今は村外で買い物しているが、もっと年を取って動けなくなったら大変。近くにコンビニがあれば便利になる」と待ち望む。

 村はコンビニ誘致に乗り出し、昨年4月、300万円を上限に開業資金の半額を助成する制度を導入。赤字が出た場合、1年に最大100万円を補填(ほてん)する(最長3年間)異例の条件も設けた。実際に大手コンビニチェーンなど数社が関心を示して現地視察に訪れるなど期待はにわかに高まった。

 しかし、出店には至っていない。最大の理由が過疎化だ。府内で唯一の過疎地域では、収益確保は難しい。交通量が乏しく、ドライバーの利用も見込みにくいことも、出店を阻む要因となるようだ。

 住民の間には、過疎地における経営の難しさを打ち明ける声も聞かれた。村内でカラオケ喫茶を営む中尾安子さん(63)は「人が少ない村に出店しても利益は出ない。高齢者には地元の商店と生協の移動販売で十分だし、若い人は隣接自治体に買いに行く」と話していた。

 それでも村観光・産業振興課は「コンビニが開業しても人口が増えるわけではないが、一軒でもあれば住民には心強い」と諦めていない。

 ◇千早赤阪村の過疎

 村人口は今年3月末現在で5454人。2007年に比べて1000人以上も減少した。65歳以上の割合を示す高齢化率はこの間に17ポイント上昇し、42%に上る。過疎地域自立促進特別措置法は過疎地域の要件として、国勢調査に基づく1990〜15年の人口減少率が21%以上などと定めており、府内で唯一該当する。