義経千本桜

せきともを見に行きましたが何か?(開き直り)

えー、シアトリカルライブ、なるものを生まれて初めて見ました。云わば、生アフレコ&生演奏です。で、普段着だと雰囲気が出ないっていうんで、声優さんは衣装着ますが、演奏者は素です。着物と洋装と半々。効果音とかも後ろで生で出してくれるので、臨場感が半端ない、そういったエンターテインメントの形です。ほんと、初めて見ました。

やっぱり三味線って生が一番いいよね。

何ていうの、あの、CDとかの音って弾く(ひ・く)じゃない? 生だと弾く(はじ・く)。もっと言うと、吉田兄弟のお兄さんの方なので、ぶっちゃけ叩く。その、音が、ダイレクトに耳に届くのよ。幾らCDが進化したって、この生音は再現出来ないのよ。そりゃあ会場大きいから、マイク通した音だけど、それでも違う。休憩時間に動かないことで有名な私が(有名じゃねっしw)、初日、思わずサントラ買いに走ったくらいに、凄くサウンドが良かったのよ。パンフよりまずサントラ買ったね。パンフ買い忘れたとも言うけどね(笑)。

で、前評判、あんまりツイッターとかに流れて来ないんだけど(なんでだろう…?)、数少ない感想を眺めるに、泣ける、と。だもんで、物凄い期待して行った、ワケです。

だってせきとも、悪役だしね!

せきともの悪役大好きだから、もう期待度MAXで行ったわけですよ、ええ。

いや、あの、もう。

吉次最高だよもう!

えー、義経千本桜、というのは元々は歌舞伎の演目。その中の一部の、さらにスピンオフ。ストーリーは一言で言うと「狐の恩返し」です。四年前、初音の鼓(その鼓の皮は子ぎつねのお父さんとお母さん)をもらった子ぎつね「源九郎狐」(げんくろうぎつね)は、それを恩にきて、仲間すべてを失った義経の元に馳せ参じ、義経を守る、というお話。

先にキャスト書いちゃおうかな。キャスト以下。

浪川大輔源義経

井上和彦武蔵坊弁慶

沢城みゆき:源九郎狐・静御前・兵士1

小林裕介藤原泰衡

関智一金売吉次源頼朝

このキャスト、どう間違っても失敗するはずのないキャスティングじゃない?うん、もう、凄かったよ。沢城みゆき静御前が色っぽいわ子ぎつねカワイイわ、本人いわく「この年で耳………アリなの? どうよ?」らしかったんだけど、いや、可愛かったですマジで。この中だと、せきともだけがシアトリカルライブ初めてっぽい。

えー、吉次、せきともの役は商人です。源義経を金で支え続けた、商人が、義経を見限って首を取れと言う側に回る。「もう義経の値打ちは下がった」といって。で、首を取れって泰衡に言うんだけど、武蔵坊弁慶が横に居たら取れないと言われる。その弁慶は既に病に倒れ、狐が化けている姿だと、知らずに。

ちなみに、悪役中の悪役、頼朝もせきともがやっていて、それがまた怖いのなんのって(笑)。まあ、声は信長の忍び今川義元なんだけどね(笑)。

で、その弁慶が子ぎつねの化けたものだと吉次が看破する。そこで、吉次は義経を討つと宣言する。「あたしは、義経が大好きなんだ!」と叫んでね。この台詞がまた痺れた。後ろの演奏が大音量で流れるんだけど、それにかき消されぬ声で。ここ。これ。もう本当に凄かったよ。だもんで、台本と、あとサントラ買いに走ったわけです、ええ。

別にせきとも、いや実は自分的には「福山雅治より恰好いい」と思っているけれども(笑)ビジュアルで惚れたワケじゃないんで、パンフより台本が先だった。いいんだよ、目なんて客観的な器官じゃないんだから。網膜に映った情報を脳みそが才能でオーバーレイしちゃうんだからしょーがないじゃん。で、台本とサントラを買って、二幕だ。

歴史が証明している通り、そこで義経は死ぬ。ここは、このお芝居でも変わらなかった。

実は、吉次は伊予松山の犬神刑部たぬきだった、っていう。その吉次が、最後、助からない義経の、価値を上げる。実は、ずっと弁慶に憧れていたと言って。病に果てた弁慶の代わりに、立往生を演じてみせる。あんたが生きていたら絶対にこうする、あんたは絶対倒れねぇ、死んでも、義経様を守る男だと言って。ここ、井上和彦最強。狐が化けた弁慶、過去の姿の弁慶、そして、吉次が化けた弁慶、全部違うのよ。かわいい弁慶素敵な弁慶強い弁慶、って感じ。山場中の山場。弁慶の立往生は本当に、憧れだよねぇ。そうして。

今までの仲間(子ぎつねが頑張って作った幻影)に囲まれて、義経が最後の大立ち回り(台詞で)。客席に降り頻る桜吹雪。そして、エンディングまで一気呵成!

というわけで、どうしてももう一度見たいと思った。

ところで、泣かなかったんだよね。その理由を帰り道でつらつら考えていたのだけど。

そういや、吾輩、あんまり義経のこと、好きじゃなかったわ(笑)。

まあね、内乱の後、武断派が討伐されるのは日本史の中でも当たり前のことだし、ぶっちゃけお話の中では「戦のない世の中を願っている」となってはいるけど、アンタ根っからのヒャッハーさんじゃんね(笑)。しかもチョーシこいて朝廷から勝手に官位とかもらっちゃったら、アンタとほぼ同じヒャッハーさんで、しかも頭も鍛えてある頼朝からしたら、おまっ、ちょっ、何してんのってなるわ。しかも、人たらし。多分世間知らず的な所があったんだろうね、ほっとけないタイプ。だから、家臣には慕われて。せっかく幕府の基礎を作ったっていうのに、支持が割れたんじゃ意味がないから、討伐するしかない。政治的にはそこまで頭の回らない、戦しか出来ないのに慕われる人たらし、殺るしかないって頼朝が思うのは当然のことだと思う。義経、お前が悪い。お・ま・え・が・わ・る・い!

とまぁ、あまり判官贔屓のない自分は思うわけで。

で、吉次のあの叫びを、もう一度聞きたくて、当日券が出るって話も聞いたし、日曜日に、もう一度、品川に行ったんです。だってDVDとかにならないって言うから!

ええ、千穐楽に。

ところで、サントラを買って帰りましたが、一番好きな曲が収録されていないこの悲劇。なんで刹雷がないのよ? ここは入れるべきところじゃないの? 二幕の開始時に流れる曲で、もう本当に格好いい曲なの。三味線リフ。しゃみリフ。もう、本当に最高なのに。生涯に二度しか聞けないとかあんまりよ。

さて、そんなこんなで当日券をゲットして千穐楽です。

いっやぁ、泣いた。

えっさっき義経好きじゃないって言ってたじゃん投げやりさん。どうしたの。

これね、絶対浪川大輔だと思う。だって泣いたとこ、弁慶のとこじゃないもん。吉次のトコでもないもん。全部、義経のトコだもん。千穐楽で、何ていうか、今までと芝居変えて来たんだろうと思う。長台詞恰好良かったよもんのすごく。いとあはれ。

弁慶の立往生のところ、本当に格好良かったのだけどやっぱりそこじゃ泣かなくて、その後の義経の長台詞で泣いた。いや本当に、浪川の演技が神がかってた。

いや、せきともの長台詞もスンバらしいのですけど。

千穐楽、二回噛んだ(笑)。何ていうか、初回見た時は全く噛まず立て板に水。しかも見事な台詞回しに酔いしれていましたのよワタクシ。なんか気合い入れ過ぎたんだろうかね。あの叫びは本当に心に響いたけど、それでも震えたのは浪川だった。井上和彦でも、沢城みゆきでもなく、小林裕介でもなく、浪川だったよ。

いっやぁいいもん見せていただきました。

千穐楽は、キャストがちまちま喋りました。なんていうか、浪川って本当にいい人なのね(笑)。しかも、ちょい天然。

で、今日の昼の部で、のっけから噛んだって言ってて(笑)、どうしても「賜る(たまわ・る)」が出て来なかったんだって。「漢字読みたくなくなった」って言ってた(笑)。ちなみにせきともは「劇団から続いた舞台が、ここで一区切りつくから、自分お疲れ様ってことで、何食べようかずっと考えてました」って言ってた。「すき焼きにします」って。すっごくどうでもいい情報ありがとう。

でも本当に、夢のような二日間でした。ほんと、心残りは二幕目開始直後の曲「刹雷」がサントラに入っていなかったこと。これ、どこかに言えばiTunesとかで買えるようになるのかな。本当にいい曲だったの。ちょっと言い続けるかもしれない。

子ぎつねカワイイし子ぎつねの化けた弁慶がもう本当にカワイイし、恐るべし井上和彦。初日はよわ経だった浪川の、二日目の義経の恰好良さは忘れないわ。

そして、せきとも。やっぱり最高。

何度でも言う。何度でも書く。わたしはせきともの演技が見たくて二日足を運んだの。そりゃあ井上和彦沢城みゆきも、小林裕介浪川大輔も良かったよ? 凄く良かったよ? でも、じゃあ浪川見に舞台に足を運ぶかって言われたら、それはないの。わたしは、せきともを見に行った。あの吉次の叫びを、大好きな義経を金のために裏切り、大好きな義経の値を上げるために散った、吉次の演じた弁慶の立往生を見に行ったの。義経が好きで、義経を好きな弁慶に憧れて、最後、死ぬと判っていて義経の値打ちを上げて、散った。素敵な役だった。いや頼朝も良かったけどね。やっぱりせきともの悪役は外れない。主役歴20年OVERな人だけど、悪役の方が好きかな。

とまあそんなわけで、見てきました。夢のような、シアトリカルライブでした。楽しかった、ありがとう! ほんと、せきとも好きになって良かった!

笑う朗読も行っとけばよかったかなぁ………

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